水産物輸入販売会社「魚秀」(大阪市)が中国産ウナギを「愛知県三河一色産」と偽装表示していた問題で、偽装ウナギを販売していた「神港魚類」(神戸市)の担当課長(40)が、農林水産省の立ち入り調査前に魚秀幹部らとの会合に出席し、偽装の隠蔽(いんぺい)工作を話し合っていたことが28日、関係者の話で分かった。会合は担当課長が関連会社から受けた偽装情報を魚秀に連絡したことを契機に開催されていた。偽装への関与が濃厚となったことで、担当課長が偽装を把握しつつもウナギを販売していた可能性が強まった。
神港魚類の関係者によると、社内でのウナギ事業は担当課長にほぼ一任されていたといい、兵庫、徳島両県警は今後、課長から事情を聴くとともに、上司らが偽装を把握していたどうかについても慎重に調べるとみられる。
関係者によると、担当課長は農水省の調査が入る3日前の今月9日、神港魚類の関連会社から、ウナギの産地偽装の問い合わせがあったことを受け、魚秀幹部に「ウナギの産地がおかしいと関連会社から指摘を受けた」などと電話で連絡。その際、魚秀幹部は「明日徳島へ来てくれ」と返答したという。
翌10日、徳島市内の居酒屋で会合が開かれ、担当課長と魚秀の中谷彰宏社長ら幹部3人のほか、魚秀の親会社「徳島魚市場」社員、高知市内の取引先の水産会社幹部の計6人が出席した。
この席で、産地偽装を別会社の責任に転嫁することが提案されたほか。魚秀が抱えていた中国産ウナギの在庫約540トンの処分方法についても話し合われたという。
担当課長は5月中旬、取引先の仲卸業者から、産地偽装したウナギの蒲(かば)焼きの製造会社が架空であるとの指摘を受けた。同月27日には中谷社長から現金1000万円を受けとったが、担当課長はこれらについて上司に報告していなかった。
農水省の調査が入った後の18日には、担当課長は社内調査に「(中谷社長らが)自分に偽装責任をなすりつけるつもりでシナリオをつくっていた」と釈明し、1000万円の授受を報告したという。
産経ニュース