Ⅰ.子どものサプリメント利用
サプリメントの普及に伴って、子どもにもその利用の拡大が懸念されています。
子どもにサプリメントを与える際には、大人よりもさらに、その安全性や有効性を充分に考慮し、慎重に対応する必要があります。
子ども用サプリメントって?
最近「子ども用」というサプリメントが販売されています。
また、「子どもでも利用できる」とうたったものもあります。
特にインターネット販売サイトでは数多くの子ども用製品が販売され、その数は数百種に及びます。
しかし、これらの製品が子どもにとって安全で、必要なものなのか、また、科学的根拠があるのか、確認できません。
それはほとんどの製品が、国が安全性・有効性を科学的に評価した保健機能食品ではないからです。
必要なの?
「今の子どもはストレスにさらされているから」とか、「今の野菜は栄養が少ないから」などと言ってサプリメントの必要性が強調されています。
しかし、その根拠はほとんどなく、単なるイメージに過ぎないことがかなり多いというのが実情です。
毎年、国が行っている栄養調査からも、今の子ども達に、早急な対策が必要な栄養素不足はみられないと言えます。
毎日3食(+適切な間食)の食事をきちんと食べていれば、ほとんどの子どもには特別なサプリメントは必要ないと考えられます。
むしろ安易にサプリメントに頼ることは、子どもが食に対する興味・関心を持つことを妨げ、将来、健全な食生活を送る上での障害になるおそれがあります。
効果はあるの?
科学的根拠がある程度蓄積しているビタミンやミネラルについても、その有効性の根拠は欠乏症に対する予防効果がほとんどで、現在のような欠乏症の予防目的を超えた量の摂取に関する根拠は、大人でもはっきりしていません。
ビタミンやミネラル以外の成分の安全性・有効性については、まだ検討段階(研究段階)と言っても過言ではありません。
特にサプリメントの有効性は、成人や中高年で得られた情報が大部分で、子どもで得られたものは極めて少ないのが現状です。
安全なの?問題はないの?
サプリメントは、一般に特定成分を大量に摂取できることがその利用の最大のメリットとなっています。
しかし、どんなに体に必要な成分でも、過剰に摂れば有害な作用が出る可能性があり、注意が必要です。
特に、小さな子どもは大人の様に体が出来上がっていませんから、有害な影響を受けやすいと考えられています。
また、子供で安全性を評価したサプリメントはほとんどありません。
子どもにとって、サプリメントの利用は、良い効果よりも悪い影響(デメリット)の方が大きいと判断するのが妥当であり、大人と同じように考えて利用するのは正しいとは言えません。
また、サプリメントの利用では「食育」は期待できません。
親子一緒に食への理解を深め、子どもの頃から正しい食習慣を身に付けましょう。
偏食があるけど、使用した方がいい?
ひとつの食材が食べられないからといって、それだけですぐに栄養不足になることはありません。
できるだけ多くの食材を、バラエティ豊かに食べられるよう努力しましょう。
どうしても食事だけでは足りなくて困っている場合は、まず保健所等の栄養士に相談し、さらに問題があるのなら、かかりつけのお医者さんと相談して対処するようにしましょう。
自分自身で判断せず、保健医療の専門家に相談することが重要です。
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