【4月5日 AFP】
ポスト京都議定書(Kyoto Protocol)の枠組み交渉作業計画を話し合うためタイ・バンコク(Bangkok)で開かれていた国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の特別作業部会初会合は最終日の4日、急増する航空や船舶からの温室効果ガス排出量の削減方法を検討することで合意した。会合には160以上の国や地域が参加した。
気温上昇により今世紀末には数百万人が危機的状況を迎える恐れがあるにもかかわらず、温暖化への取り組みについては先進国と途上国との間で大きな隔たりが浮き彫りになった。
前月31日から4月4日まで5日間の日程で行われた今回の作業部会会合は、前年12月にインドネシアのバリ(Bali)島で開かれた国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)で合意された、2012年に期限が切れる京都議定書後の温室効果ガス削減目標を2009年末までに決めるという目標に向けての初会合だった。京都議定書は温暖化の原因とされる温室効果ガスの先進国の排出量削減を定めている。
合意文書では航空・船舶分野の「排出量を制限または削減」する方法を協議することが盛り込まれた。両分野の温室効果ガス排出量は全体の約3%を占めるが、個々の国に帰属させることが難しく京都議定書の対象外となっている。
部会に参加した代表や環境活動家はシンガポールなど物流拠点となっている国やオーストラリアなど他国と離れた国などが案を骨抜きにしようとしていると指摘していた。
また文書には二酸化炭素の排出権取引も盛り込まれた。先進国の政府や企業が二酸化炭素排出量を売買できるようにすることで新興国もポスト京都議定書の対象となる可能性が高くなる。
日本が提案した業種別に基準を設定する「セクター別アプローチ」については途上国が環境技術開発が進んでいる先進国にとって削減目標の達成が容易になる一方で、途上国には排出量削減を求められるきっかけになりかねないとして懸念を強めているが、検討を先送りにすることで妥協をみた。
議長案では2009年のデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)会合までに3回の作業部会会合を開く。日本のセクター別アプローチについてはこの後開かれる2回目の作業部会で協議する。
また米国を排出量削減作業に参加させる方法も協議することが盛り込まれている。2012年以降の排出量削減方法について、ほぼ全出席者が来年1月の次期米国大統領就任まで待つ必要性を認めた。いずれの大統領候補者も地球温暖化へのより大きな関与を公約している。
(c)AFP/Shaun Tandon
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http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2374003/2801424
【4月4日 AFP】
スペインが過去40年で最悪の干ばつに見舞われている。気象当局によると降水量は全国的に平年より40%少なく、渇水から隣接する行政区で水争いも起きている。
環境省によれば1912年以来最悪の水不足で、貯水率は10年前より20ポイント低い46.6%まで落ち、農業や水力発電に影響が出ている。
特に被害が大きい北東部カタルーニャ(Catalunya)州ではダムの貯水率は19%まで落ちこんだ。貯水率が15%を下回るとダムから取水できなくなるという。まとまった降水がない状態が続けば、夏から秋にかけて水不足が深刻化し、給水制限などが必要になる恐れがあるという。
危機感から、カタルーニャ州自治政府は、エブロ(Ebro)川支流のセグレ(Segre)川から、観光地としても知られる州都バルセロナ(Barcelona )に水を引くことを求めたが、この案に隣接するアラゴン(Aragon)州が反対している。カタルーニャ州は、アラゴン州がセグレ川の水を「スペイン版ラスベガス」とも呼ばれるリゾート開発プロジェクトのために使おうとしていると批判している。
気象当局によれば、今後3か月間は、まとまった雨は期待できないという。
(c)AFP/Virginie Grognou
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http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2373706/2796356
【4月4日 AFP】
「晴天の日の空が本当に真っ青で、そのときは木の枝の先の氷の結晶まではっきり見ることができたんですよ」。日焼けした顔に笑顔で語るのは、スキーヤーの古川一美(Kazumi Furukawa)さん(56)。蔵王山(Mount Zao)に立ち、モミの木を見下ろしながら3年前の情景を鮮明に思い出しているのだ。
古川さんが語るのは、この山で見られる「樹氷」という自然現象。樹氷を見るためだけに毎年、標高1600メートルの山を訪れる日本やアジア諸国のスキーヤーもいるほどだ。ところが最近、この樹氷が見られる回数が減ってきている。科学者らによると、その原因は海の向こう、中国の工業汚染にあるという。
樹氷を20年近くにわたり研究している山形大学(Yamagata University)の柳澤文孝(Fumitaka Yanagisawa)准教授は、霜に混入する酸の量が徐々に増えており、木の将来を危険にさらしていると指摘する。今年は過去最高の酸レベルを記録し、生態系に深刻な問題を引き起こしている可能性もあるという。
衛星データから、准教授らは酸の増加の原因が中国陜西(Shanxi)省の工場で排出された硫黄にあると結論付けた。
2006年に初めて調査結果を科学誌に発表して以来、小学校から講義の依頼が入るようになった。「こういった科学的なことを子供たちに説明するのは、それだけで難しい。でも最後には、いつも『じゃあ、どうすればいいの?』と聞かれるんですよ」と准教授。適切な答えが見つからないことを残念に思っている。「汚染の元は日本の外にありますから、なかなか、地元で対策をといっても難しいですね」
蔵王は日本が中国から受けている汚染の1例に過ぎない。経済の急成長に伴い、中国の工場による汚染は世界的な不安感を巻き起こしている。
■環境問題はアジア諸国で一体の取り組み必要
柳澤准教授は1990年代前半に中国の大学で研究成果を発表したときのことを、こう振り返る。
「中国の大気汚染の影響を日本が受けている、とちょっとでも言おうものなら、大変な反発を受けます。以前、私の話に会場全体がブーイングしたことがあります」と教授は苦笑する。「今でも、越境汚染の話を中国でするのはタブーだと思います。中国に招待されて話すときには、その話をしないよう気をつけています。招待してくれた側にも迷惑ですし」
一方、日本政府は中国政府と協力して環境問題に取り組みたい方針だ。2国間協議にオブザーバーとして参加した環境省の袖野玲子(Reiko Sodeno)課長補佐は「越境汚染で中国など一国を責めるのは、逆効果です。他の国を非難しても、結局問題の解決にはなりません。メンツをつぶすことになりますし」と語る。最終目的はアジア諸国が越境汚染に関する長期的な条約を結ぶことだという。
8月に北京五輪を控える中国は、大気汚染対策に乗り出している。袖野課長補佐は「今年は五輪もありますし、中国は積極的に汚染対策でも国際協力に向けて動いてくれると期待しています」と語る。
現在、気候変動の原因とされる温室効果ガスの最大排出国は米国だが、中国は間もなくこれを抜くとみられている。国立環境研究所(National Institute for Environmental Study)広域大気モデリング研究室の大原利眞(Toshimasa Ohohara)室長によると、このままの排出量が続けば、2020年までに二酸化窒素排出量は中国で2.3倍、東南アジアで1.4倍になるという。「政治の世界で汚染対策のリーダーシップがとられない場合のシナリオでは、アジアの大気汚染が全世界に深刻な影響をもたらすと考えられます」と指摘する。
(c)AFP/Kyoko Hasegawa
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