輸入食品の検査がかなりずさんであることが総務省の調査で発覚した。
農林水産省は、全国30カ所の動物検疫所のうち22カ所で、家畜防疫官が自ら抽出しなければならない検体を輸入業者に用意させていた。これは不適切というより、検査そのものの信頼性が疑われる。どんな検査でも言えることだが、抜き打ち検査で初めて、その実態がわかる。どこかに問題があるのではないかと、疑ってかかるから違反が明らかになるのだ。
違反食品は送り返すか廃棄処分になる。輸入業者にすれば大損である。当然、問題がない検体を持ち込むだろう。吉野家の米国産輸入牛肉に特定危険部位が混入していたとき、若林正俊農水相は「検査システムは機能している」と断言したが、大うそだったということだ。
また、家畜防疫官らは検査場所まで公共交通機関を使うことになっているが、14業者は社用車で送迎していた。これは癒着である。農水省には、業者に手心を加える土壌があるのではないかと疑われても仕方がない。いったい、いつから誰が認めたのか、責任の所在をハッキリしてほしいところだ。
一方、厚生労働省は残留農薬などの「モニタリング検査」の検体数を守っていなかった。ナス科類は14%、水産物のレトルト食品は20%。レトルト食品を一切検査しなかった検疫所もある。これは輸入検査偽装といえる。いま、消費者が最も心配しているのが輸入食品の安全性だ。食の安全を所管する両省が、その検査で自ら偽装をしていたのでは話にならない。
産経ニュース