当初は、すべての加工食品を対象に表示の義務化を検討していたはずが、結局は調理された冷凍食品だけになった。中国製冷凍ギョーザ中毒事件が起きたので、何かしなければいけないと思い立ったが、業界や国の反発が大きく、頓挫しそうになった。それでは面目が立たないので「冷凍食品だけでも義務付けよう」ということではないだろうか。冷凍は表示義務があるのに冷蔵は不要だとか、消費者の要望が強いにもかかわらず豆腐や納豆などの大豆製品は対象外というのは、冷凍食品業界に対するお仕置きのような感じさえする。
答申には「都が原料原産地表示義務拡大に取り組むことは、国の施策を動かす原動力になる」とある。国に圧力をかけて、原料原産地表示を推し進めたいということなのだろうが、このままではむしろブレーキになりかねない。
国は、食品表示法への一本化の中で、原料原産地表示の拡大も検討している。国の法律で決めるからには、消費者側の立場で、わかりやすく合理的な判断をすべきである。(食品問題評論家 垣田達哉)
産経ニュース