吉野家の加工センターで、米国産牛肉700箱中1箱から特定危険部位が見つかった。出荷元の米国の会社は「完全に安全で、米国や海外の消費者が食べている」という声明を出し、米国食肉協会は日本の規制を「独特だ」と言う。いかにも日本が神経質になりすぎていると言わんばかりである。
しかし、英国でヒトのBSEといわれる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者の遺伝子を調べた結果、感染者のほとんどが「129番目の遺伝子がM/M(メチオニン/メチオニン)型だった」ことがわかっている。この調査結果は「M/M型の遺伝子を持っている人しかvCJDに感染しない」という可能性を示唆している。
この遺伝子を持っている人は、ヨーロッパの白人では約40%だが、日本人はなんと約92%もいる。日本人と白人では感染リスクが倍以上違うのである。このことは、食品安全委員会や厚生労働省も公式に発表していることだ。vCJDに感染しやすい遺伝子を持っている日本人だからこそ、BSEには人一倍神経を使わなければならない。日本人が神経質になるのは当たり前のことである。
米国でも、農務省が今年2月、「食用禁止の歩行困難牛(へたり牛)を出荷していた食肉加工会社に対し、過去最大の牛肉約6万5000トンの回収を命じ」たり、食品医薬品局が「BSE対策強化のため、家畜飼料用の牛の肉骨粉を来年4月から、牛以外の動物にも与えることを禁止する」と発表するなど、BSEに対する不安は解消されていない。日本だけが騒いでいるわけではない。
産経ニュース