医学研究というと、ミクロの世界に入り込んでその形や物質同士の関係を調べ、生命現象や病気の原因を追究するというイメージが強いのではないでしょうか。
1590年にオランダの眼鏡商、ヤンセン父子が初めて顕微鏡を開発してから400年。今ではミクロの一つの究極である遺伝子の研究が盛んに行われています。人間や病気という複雑な存在でも、細かく刻んでいけば正体が分かるという考えは「(要素)還元主義」と呼ばれます。あまりに狭く深く突っ込んでいくと隣のことも見えなくなるので、「細分化の弊害」とも言われますが、医学研究の王道と思われていることは確かです。こうした研究で病気の原因や成り立ち(病態生理と言います)が分かり、その延長線上に良い治療法の開発があると信じられています。
ところが、必ずしもそうならないのが生身の人間の難しいところです。2000年、英国の医学専門誌「ランセット」に2つの臨床研究が発表されました。
アレルギーで重要な役割を演じている白血球の一種に好酸球があります。ミクロの研究では、好酸球の働きに「インターロイキン」という物質がさまざまな影響を与えていることが分かっていました。それで気管支ぜんそくの治療薬として「インターロイキン」関連物質が期待され、実際の患者さんを対象に臨床試験が行われました。その結果、この治療によって患者さんの血液と痰(たん)の好酸球は減ったのですが、予想に反して気管支ぜんそくの症状は何も改善しなかったのです。
体内のミクロの指標の変化が、本当に生身の患者さんに役立っているかどうかは残念ながら保証されてはいません。細かい部品の寄せ集めではない、自分の命を生きている一人の人間として、患者さんにとって本当に意味のある治療法が開発されるには、細分化を目指す研究とともに、人間自体を対象とする臨床研究や疫学研究の一層の発展が望まれるところです。
(京都大大学院医学研究科教授・中山健夫)
産経ニュース
これまで、料理を中心にアンチエイジングに関することをお話ししてきましたが、今日は体と食べ物の相性のお話です。
皆さんは、自分に合っている食べ物、合っていない食べ物をきちんと把握していますか? 自分に合っているものというのは、基本的には「おいしい」と思うもの。口にすると何となく落ち着く、安心するものだと思います。お母さんの手料理を久しぶりに口にするとホッとするのは、自分に合っている証拠なのでしょうね。
では、自分の体に合わない食べ物というのはどんなものでしょう。嫌いな食べ物ではなく、体が受けつけないもの、アレルギーという言葉でお話しするとわかりやすいでしょう。じつは、このアレルギーには2種類あって、即時性のアレルギーと、遅延性のアレルギーがあるそうです。
即時性のものは、発疹(ほっしん)や下痢など、症状がすぐにはっきりと出るのでわかりやすいのですが、気を付けたいのは遅延性のものです。この遅延性のアレルギーは、食事のあと数日たってから、しかも、体の中で症状が出てくるものが多いので、自分で気をつけていないとなかなか気付かないのです。
例えば、バナナが大好きなのだけど、食べた翌日になんとなく調子が悪かったり、いつもより少し下痢っぽかったり…。このような場合は、もしかしたらバナナの遅延性のアレルギーかもしれません。なかなか分かりにくいこの遅延性のアレルギーも、体にストレスを与えるという点では即時性のものと同じですので、皆さん気をつけてくださいね。
アンチエイジングを考えるときに、この食べ物との相性、つまり食物アレルギーというのはすごく大事なことです。体が喜ぶ食事は、人生も楽しくしてくれますよ。
産経ニュース
【6月12日 AFP】
米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は11日、米国の17州で少なくとも167人がトマトを食べてサルモネラ菌に感染したと発表した。生産業者らは業界が「崩壊寸前」の状態だと危機感を募らせている。
FDAの発表によれば、少なくとも23人が「セントポール(Salmonella Saintpaul)」という種類のサルモネラ菌に感染し入院した。「セントポール」は珍しい種類のバクテリアで、感染による死亡の可能性もある。感染源は生のトマトだとされている。
米国内のスーパーマーケットやレストランでは、トマトを店頭やメニューから撤去し、サンドイッチやサラダからも抜くなどの対応を余儀なくされている。
(c)AFP
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http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2403913/3024589