トランス脂肪酸を減らしたことをアピールするドーナツのコマーシャルが流れている。
トランス脂肪酸は天然植物油にはほとんど含まれず、マーガリンやショートニングなど、液体の油脂を固形化した「水素添加油」に多く含まれる。この脂肪酸を過剰摂取すると、血中の悪玉コレステロール(LDL)が増加し、善玉コレステロール(HDL)が減少するため、心筋梗塞(こうそく)などのリスクが高まるとされ、WHO(世界保健機関)/FAO(国連食糧農業機関)合同専門家会合は「食事からの摂取を低く抑えるべきであり、実際には最大でも1日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満とするように」と勧告している。
アメリカ人の摂取量は1日当たり平均5・8グラムで、摂取エネルギーに占める割合は2・6%と非常に高く、米国は2006年から加工食品の栄養成分表示に、コレステロールなどと並んでトランス脂肪酸の含有量の表示を義務付けている。ニューヨーク市は、市内の飲食店や売店で提供される食品について、トランス脂肪酸の制限や表示を7月までに段階的に実施する。
一方、日本人は1日当たり1・56グラム、0・7%と低いため、食品安全委員会は「健康への影響は小さいので、特別な規制をする必要はない」としている。しかし、それは国民健康・栄養調査の平均値が低いというだけである。現代の日本では、とくに若い世代を中心に、外食産業を利用する機会も多くなり、総菜などでも揚げ物が飛ぶように売れている。マーガリンやショートニングが使われている食品も人気が高い。脂肪分の多い菓子類や食品の食べ過ぎなど、偏った食事をしていれば当然、平均値を大きく上回る摂取量となる可能性がある。
日本でトランス脂肪酸の含有量は表示されていないのは、摂取量の平均値が低いので特別な規制ができないというだけである。最大1%といっても、少なければ少ないほど良いのだ。
新しいドーナツは、コマーシャルでは説明がないが、ホームページを見ると、トランス脂肪酸の少ない油を使い、「ミックス粉」や「コーティング素材」の原材料からも減らしたという。これでドーナツ1個あたり1~1・5グラム含まれていたトランス脂肪酸を0・25グラムまで抑えたとする。しかし、もう少し情報公開を進め、どんな油なのかなど、より厳密な説明を望みたいところだ。
トランス脂肪酸問題は、個人の食生活を振り返る大変良い機会である。やはり、バランスの取れた食生活が求められるということである。(食品問題評論家 垣田達哉)
産経ニュース
「捨てるのがもったいない」と言って、料理の使い回しをしていた「船場吉兆」が廃業した。従業員のまかない食に使えばよかったのに、従業員にタダで食べさせるのがもったいなかったのである。客に売ればもうかる。利益追求に走り、消費者を裏切った当然の結果である。
同じような使い回し事件が、「魚きん」秋田店でも発覚している。こちらはあまり大きく報道されていないが、この2件の使い回しは、食品表示の法律面から見ると、まったく違った性質の事件である。
いずれも生ものの刺し身を使い回していたが、飲食店である船場吉兆は、食品衛生法とJAS法の対象外なので、消費期限の表示義務はない。仮に消費期限があったとしても、当日の売れ残りを当日の客に出していたのなら、期限切れの食材を使い回した可能性は低い。衛生面の問題がない限り、法律違反に問うことは非常に難しい。
一方、魚きんは百貨店のテナントだから、当然、食品衛生法とJAS法の消費期限の表示義務がある。魚きんは、前日の売れ残りを使い回していた。前日が消費期限の食材を使えば消費期限切れの食材を販売したことになるし、期限を改竄(かいざん)して販売していた可能性もある。
ただし、両法では「消費期限切れの食品を販売してはならない」と決められているわけではない。厚労省の通知で「販売を厳に慎むように」という表現があるだけなのだ。国民生活審議会も、生活安心プロジェクトの報告書で提案しているが、「消費期限切れの食品等を販売してはならない」と法律に明記すべきである。違反者に対する罰則も設けるべきであろう。
先日、あるイベントでアンチエイジング料理をいただく機会がありました。最近はいろいろなレストランでアンチエイジング料理を食べられるようになってきましたね。食育と同じように、この言葉もようやく浸透してきたようです。
さて、アンチエイジング調理の基本は、食材をいじめないことだと前回お話しましたが、それでも調理法が難しそう、と尻込みしていませんか。安心してください。簡単です。今日は前回の「余熱調理法」と少し似ているのですが、素材の中までふんわりと焼きあがる「ラッピング調理法」をご紹介します。
フライパンやグリルを使って焼きものをしたとき、少し目を離して焦がしてしまった経験はありませんか。焦げるまではいかなくても、なんだか水分が抜けてしまって、パサパサになったり。
ためしに、素材を耐熱性のあるクッキングシートに包んでじっくり熱を通してみてください。具材が焦げることもないし、素材そのものの水分で素材自体が蒸されるので、ふっくらしますよ。しかも栄養と風味がギュッと閉じ込められます。フライパンで直接焼くのと違い、油を使う必要がないので健康的です。
また、ラッピングする際に肉や魚と一緒に野菜を入れてみると、野菜のうまみや栄養もラップの中に閉じ込めることができて、ますますおいしい料理になりますよ。
加えて、この「ラッピング調理法」には、僕が大切にしているワクワクを入れることができます。包みを開けるとき、まるでプレゼントを開ける時のようなドキドキ感がないですか。開けた瞬間、ふわっといい香りが辺りにただよいます。この香りって最高のスパイスですよね。
産経ニュース