当初は、すべての加工食品を対象に表示の義務化を検討していたはずが、結局は調理された冷凍食品だけになった。中国製冷凍ギョーザ中毒事件が起きたので、何かしなければいけないと思い立ったが、業界や国の反発が大きく、頓挫しそうになった。それでは面目が立たないので「冷凍食品だけでも義務付けよう」ということではないだろうか。冷凍は表示義務があるのに冷蔵は不要だとか、消費者の要望が強いにもかかわらず豆腐や納豆などの大豆製品は対象外というのは、冷凍食品業界に対するお仕置きのような感じさえする。
答申には「都が原料原産地表示義務拡大に取り組むことは、国の施策を動かす原動力になる」とある。国に圧力をかけて、原料原産地表示を推し進めたいということなのだろうが、このままではむしろブレーキになりかねない。
国は、食品表示法への一本化の中で、原料原産地表示の拡大も検討している。国の法律で決めるからには、消費者側の立場で、わかりやすく合理的な判断をすべきである。(食品問題評論家 垣田達哉)
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東京都は、都消費生活対策審議会の答申を受けて、調理冷凍食品に原料原産地表示を義務付けるため、消費生活条例を改正する方針を打ち出した。
対象となる原材料は、JAS法の野菜冷凍食品の品質表示基準に準じて「原材料の重量に占める割合上位3位までのもので、かつ原材料の重量に占める割合が5%以上のもの」としている。それに加え「商品を特徴づける原材料を商品名に冠したもの」も表示対象とした。例えば「エビグラタン」のエビの原産地は、重量に関係なく表示するということだ。
ただし、小麦粉のように「複数の産地のものが複雑に混合されているものについては、適正な表示ができるかどうか難しい」という理由で、対象外となる可能性が高い。表示方法は、容器包装が原則だが、それが極めて困難な場合は「ホームページ(HP)、ファクス、電話等」でも構わない。
原料原産地表示の義務化へ積極的な取り組みではあるが、答申を見る限りは、逃げ道が多く実効性に疑問を感じる。複数の産地なら表示しなくてよいとなれば、多くの原材料が対象外になる。また産地が頻繁に変わったりする場合、容器包装に表示しなくてもよいとなれば、どの商品もHPやお客さま相談室対応で逃げてしまう可能性がある。だが消費者は、商品を買うときに原産地表示を見たいのである。
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何かおいしいものを食べたいって感じたとき、何を思い浮かべますか。少し考えてみてください。パスタ? 焼き肉? ラーメン? 考えただけでも、よだれが出てきそうですね。でも、重要なものを忘れていませんか。
「地産地消」って言葉を聞いたことがありますか。その土地でとれたものをその土地で食べるという意味なのですが、本当においしいものって、旬な地のたべものなのですよね。
今は、ハウス栽培や養殖など、食に関する技術が発達したおかげで、食べたいものが季節や場所に関係なく、食べられるようになりましたね。味もなかなかいいのですが、やはり、風味や栄養素のことを考えると、その場でとれたその時期のものに勝るものはないです。それから、この地産地消っておいしくて体にイイだけではなくて、「フードマイレージ」という考え方から見てもすごく「エコ」でね。最近は料理もエコじゃないと。
さて、体にいい調理方法を前回から紹介していますが、今回は「余熱調理法」です。
今が旬の野菜にアスパラガスがあります。日光をたっぷり浴びたグリーンアスパラガスは、栄養もたっぷりでおいしいですよ。アスパラガスのような繊維がしっかりしている食材は、沸騰したお湯に数十秒入れて、熱が通ったら、ざるに上げてしばらくおいてください。余熱でほっくりとします。こうするとアスパラガスの栄養も逃げず、繊維もやわらかく、なによりも彩りがきれいですよ。
野菜を調理するときは、熱で野菜をあまり、いじめないであげてくださいね。そうすれば、体にやさしい、おいしい野菜でいてくれますよ。
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厚労省は早速、「米国産牛肉の輸入検査を強化する」と発表したが、それは「1~2%を10%程度に引き上げる」というものだ。昨年6月まで全箱検査をしていたものが、いつのまにか1%にまで下がっている。
これでは発見できるわけがない。危険部位の混入は、残留農薬のように平均的に含まれているわけではない。699箱検査しても、最後の1箱を検査しなければ発見できないこともある。日本政府は「検査システムは機能している」というが、検査をすり抜けた危険部位が流通している可能性もある。
国と企業が分担してでも、全箱検査を復活させるべきだが、それが無理なら、消費者は「全箱検査している店」で買うなり食べるしかないだろう。(食品問題評論家 垣田達哉)
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吉野家の加工センターで、米国産牛肉700箱中1箱から特定危険部位が見つかった。出荷元の米国の会社は「完全に安全で、米国や海外の消費者が食べている」という声明を出し、米国食肉協会は日本の規制を「独特だ」と言う。いかにも日本が神経質になりすぎていると言わんばかりである。
しかし、英国でヒトのBSEといわれる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者の遺伝子を調べた結果、感染者のほとんどが「129番目の遺伝子がM/M(メチオニン/メチオニン)型だった」ことがわかっている。この調査結果は「M/M型の遺伝子を持っている人しかvCJDに感染しない」という可能性を示唆している。
この遺伝子を持っている人は、ヨーロッパの白人では約40%だが、日本人はなんと約92%もいる。日本人と白人では感染リスクが倍以上違うのである。このことは、食品安全委員会や厚生労働省も公式に発表していることだ。vCJDに感染しやすい遺伝子を持っている日本人だからこそ、BSEには人一倍神経を使わなければならない。日本人が神経質になるのは当たり前のことである。
米国でも、農務省が今年2月、「食用禁止の歩行困難牛(へたり牛)を出荷していた食肉加工会社に対し、過去最大の牛肉約6万5000トンの回収を命じ」たり、食品医薬品局が「BSE対策強化のため、家畜飼料用の牛の肉骨粉を来年4月から、牛以外の動物にも与えることを禁止する」と発表するなど、BSEに対する不安は解消されていない。日本だけが騒いでいるわけではない。
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