「シチューも米粉なら水で溶いて入れればよく、小麦粉のようにバターでいためる必要はありません。カロリーが気になる人におすすめです」。坂本さんがそう言って紹介してくれたのは「シーフードシチュー」。ケチャップでピンクに色づけした春らしい一品だ。また、お菓子を作るときは米粉の量を小麦粉の8割にすればいいという。
兵庫県の学校給食関係者や栄養士会向けに2月に開いた「米粉を使った給食メニュー普及への講習会」では、「米粉入りカレー」や「米粉で揚げた鶏肉の野菜甘酢あんかけ」の作り方を紹介。「ルーを使うよりあっさりしておいしい」「小麦アレルギーのある子供も米粉の揚げ物なら食べられる」と参加者に好評だった。
農林水産省によると、米粉を使った製品の普及状況(新規米加工品原料使用量)は平成17年度は3000トンだったが、18年度は6000トンと倍増。米粉パンを学校給食に導入する学校も増えており、17年度は6063校、18年度は7836校になった。
坂本さんは「小麦と比較すると値段は高いが、国産で安全という点に注目して、家庭でももっと米粉を使ってほしいと」と話している。
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輸入食品への不安の高まりや輸入小麦の度重なる値上げを受け、安全でヘルシーな国産米粉(こめこ)が注目されている。米の国内自給率はほぼ100%で、米粉は小麦粉などと違って安定した供給が望める。料理に使えばメタボリック症候群や子供のアレルギー対策にもなるといい、さまざまな食品が考案され、家庭や学校給食など各方面で利用が広がっている。(服部素子)
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「米粉は食の安全を揺るがす問題が起こるたびに認知度が高まってきました」。食育・料理研究家で、近畿米粉食品普及推進協議会会長の坂本廣子さんはそう話す。
同協会は食料自給率のアップと脂質過多の食習慣の改善を目指し、消費者や食品業界、生産者団体、学校給食の関係者らが集まり、全国に先駆けて平成14年6月に発足。坂本さんが食育の面で中心になり、米粉のさまざまな可能性を探ってきた。
BSE問題の際には、牛エキスが入ったカレールーが使えず給食にカレーが出せないという保育所からの相談を受け、カレー粉に米粉でとろみをつけた「さらっとチキンカレー」を考案し、園児たちを喜ばせた。
米粉は小麦粉と違ってグルテン(タンパク質)ができない▽水分をより多く含むことができる▽粒子が細かい▽消化のスピードが遅いので血糖値が上がりにくい-などの性質がある。このため米粉を使ったケーキやクッキーは粉っぽさがなく、天ぷらなどの揚げ物も粒子が細かいので具につく量が少なく、油の吸収も少ないのでサクッと揚がる。
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雑穀は体に良いと分かっていても、料理法を知らないため、なかなか食べる機会がない。しかし、大谷さんは「雑穀料理は簡単。みそやしょうゆでうまみを引き出し、良い塩と油を適度に使えばいい。おいしくないのは、塩や油をあまり使わないからです」と話す。
大谷さんが薦める料理はスープ。タマネギなどの野菜に少しの雑穀を入れて、30分ほど煮込む。味付けは塩だけというシンプルな料理だが、雑穀のおいしさが溶け出し、奥深い味に。「雑穀はスープとの相性が良く、簡単に食べることができます」
大谷さんは雑穀の栽培を広めるため、平成7年から「ライフシードキャンペーン」という雑穀の種の配布運動を続けている。「ベランダの鉢でもいい。雑穀は生命力が強いので簡単に育ちます」という。
「みんながもっと注目して食べていけば、食糧問題の解決につながります」。体にいい雑穀。食べるばかりでなく、一度育ててみますか。
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◎【五穀発芽玄米】
◎ばんごはんドットコム
雑穀は第二次大戦ごろまでは農家などで日常的に食べられていたが、経済成長とともに白米が普及し、日本での生産は衰退の一途をたどった。注目され始めたのは10年ほど前からで、“飽食の時代”の健康食として人気を集めている。
穀物の製造・販売の大手「はくばく」(山梨県増穂町)では、5年ほど前から雑穀の売り上げが急増しているという。同社の「十六雑穀ごはん」は、16種類の雑穀をといだ米に混ぜて炊飯器で炊くことができる。一昨年春に発売し、翌年の売り上げは2倍に増えた。やはり健康志向で家庭で食べるケースが増えているようだ。「今後も続々と新商品を提供していきたい」と意欲を示す。
日本雑穀協会によると、雑穀の市場は100億円規模となった。「とくに業務用で使用されることが多くなったため、この2、3年は消費量が急速に増えている」という。
現在流通している雑穀は、オーストラリアや中国など海外からの輸入が9割を占める。同協会では「今後も需要増が予想されるので、生産農家の育成支援などを行いながら雑穀市場を育てていきたい」と話す。
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◎【五穀発芽玄米】
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縄文時代から食べられ、日本人の食生活を支えてきた「雑穀」。コメ、ムギ以外の穀類の総称で、日本ではキビ、アワ、ヒエなどが知られている。これらは栄養価も高く、善玉コレステロールの値を高める効果があるという。また白米に比べて食物繊維も数倍含み、腸内環境を整え、便秘予防に効果的とされている。このため近年、健康食として注目され、家庭での利用が増え、アイデア料理を提供する料理店が人気を呼んでいる。(渋沢和彦)
ランチタイムに、東京都新宿区弁天町の住宅地にあるレストラン「つぶつぶカフェ いるふぁ」を訪ねた。雑穀の著書も多く、先ごろ『雑穀グルメ・ダイエット』(サンマーク出版)を出版した食デザイナー、大谷ゆみこさんが経営する店だ。
「雑穀は白米や小麦と比べ、味わいが濃く、食感も多彩。人の体が求める栄養素の宝庫」と、20年以上前から雑穀に注目して料理を実践してきた。「おいしく、楽しく」が店のコンセプトで、自慢は雑穀のオリジナル料理だ。
ヒエを素材にしてまるで白身魚のような食感に仕上げたフライ、高キビをひき肉のような味わいにした「高キビのハンバーグ」など意外性のある料理のほか、砂糖を使わずに甘みを出したスイーツなどがあり、雑穀のイメージを超えたメニューに驚かされる。
店内は女性客がひっきりなしにやってきて大にぎわい。ランチは1000円ほどで、千葉市からやってきた女性会社員(24)は「うわさを聞いてやってきました。驚くほどおいしい。雑穀のイメージが変わりました」と話す。
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